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ダイナとFXRの違い。FXRは強烈な鼓動マシン

Published | 2020年3月3日  Photo | --

2010年代後半から流行し始めた「スピードクルーザー」のおかげか、最近はFXRやFXRTの中古車価格が上がってきているようですね。ただFXRは最新モデルでも1994年(CVOは1999年に出ていますが)と、もう30年近く前の車両であるため乗ったことがない人も多いと思います。僕の場合、10年ほど前に知人がたまたまFXRに乗っていたので、一度乗せてもらって感動した経験があるのですが、普通はFXRに乗る機会なんてあまりないと思います。そこでFXRの乗り味について、ここでは少し触れてみようと思いました。

鼓動?振動?が残り続けるラバーマウント

FXRの最大の特徴は、フレームとエンジンのマウントが挙げられます。

まずフレームですが、他のビッグツインに比べて一回りほどコンパクトで、非常に剛性が強く、さらに車体重量もダイナモデルよりも20〜40kgくらい軽量です(FXRは265kg、ダイナは280〜310kg)。このため、(ハーレーの中では)スポーツ走行に適しているモデルと言われています。こういった点を評価して、FXRフレームにツインカム88や96を搭載して乗っておられる方も多数いらっしゃいます。

2つ目の特徴が、エンジンマウント。FXRは、ダイナやツアラー同様にラバーマウントを採用していますが、同じラバーマウントと言っても、ダイナやツアラーとは全く違って振動が消えず、残り続けるのが最大の特徴です。僕はここがFXRの一番好きな点で、その鼓動感はハーレー随一だと思っています。これまでエボやツインカム88、96、スポーツスターやショベルなど、自分で所有したり、友人の車両に載らせてもらいましたが、FXRの鼓動が最も強烈だと思います(あくまで僕の場合…です。もちろんショベルあたりは鼓動に加えて、独特の味わいがあるのも確かで、人によってはショベルのほうが良いという方もいらっしゃると思います)。

というわけで、FXRのこのエンジンマウントの違いによる乗り味の違いについて、書いていきたいと思います。

比較対象

ノーマルスタイルは2001〜2003年までのFXDLが一番だと思う。個人的に。

FXRの乗り味については、僕が以前に乗っていたダイナやスポーツスターとの比較でお話したいと思います。僕が初めて買ったハーレーは、2003年に中古車で買った2002年式FXDL(ダイナ・ローライダー)。こちらを2万キロほど乗ってから、1996年式FXSTC(ソフテイル・カスタム)に乗り換えました。こちらも3万キロ乗ったのち、スポーツスター883を1万キロ程乗って今のFXRSに辿り着いています。

FXRは、振動が収束しないラバーマウント

FXRは振動を完全に打ち消さず、細かい振動「だけ」を取り除いた感じ。

上述しましたが、FXRとダイナの振動面での違いは収縮の有無です。ダイナもFXRも両方ラバーマウントで、似たような振動吸収をしそうですが、実はまったく違います。ラバーマウントと言っても、ダイナは2点ラバーマウント、FXRは3点ラバーマウントとマウント方式が異なるからです。

ダイナの振動

アイドリングはエンジンがユサユサと揺れ、走り出すとズダダダダとハーレーらしい振動を楽しめます。これが55km/h前くらいまで続き、55km/h超えるとピタリと振動が収束、ほぼ無振動になります。

僕の個人的感想ですが…。これが物足りなかった。

確かに100km/hくらいだと振動は不要なですが、60-90km/hくらいって個人的にはのんびり流す感覚があるんですよね。特に55-65km/hあたりで巡航することは多々あるので、ここで振動がないのはあまり楽しくなかったですね。

FXRの振動

基本的に振動は消えません。ただ速度域で微妙に振動の質が違うので、それぞれ書いてみます。

停車時

ここはダイナと質が似ています。ラバーマウントらしく、かなりエンジンが揺れます(ただ振動の大きさは、ダイナの方があります)。リジッドマウントのエボソフテイルやスポーツスターの硬質な振動とは、全く違います。

60km/hまで

停車から発進にかけては、ブルブルと大きな振動を伴って加速していきます。ここもダイナと似ていますね。違うのは、50km/hあたりからです。

ダイナは50km/h付近から急速に振動が収束し、60km/hには無振動になります。FXRは50km/hでは振動が全然収束せず、残り続けます。50km/hから60km/hあたりは、スポーツスター883に近いなぁという印象です。ここは非常に気持の良い速度域で、ズドドドドというハーレーらしい巡航音とともに走ることができます。

60km/h〜90km/hあたり

スポーツスターは60km/hを超えると細かい振動が出始め、80km/hあたりからミラーなどが見えづらくなってくると思います。しかしFXRは、ラバーマウントのため、60km/hを超えても細かい振動は少なく、大きめの振動が保たれます。この60-90km/hあたりの速度域は、もっともFXRを楽しめるところですね。僕は70km/hくらいが、サウンドと鼓動のバランスが最も良いと思っています。いつまでも走り続けたくなる…まさにそんな乗り味です。

90km/hオーバー

ここから先は少し振動が細かくなってきます。さすがにエボソフテイルやスポーツスターほどではありませんが、それなりです。ただ100km/hを超えてくると、逆に振動は収束していき、110km/hあたりではかなり振動は減少します(大きいものも、小さいものも。ただし無振動にはなりません)。100km/h付近だと、僕は鼓動よりも、「早く移動したい」というのがメインになりますからちょうどよいと思っています。

ちなみに110km/h以上だとどうなるか。残念ながら僕は、ビビってそれ以上の速度で走ったことがありませんのでわかりません…。これは推測ですが、110km/h以上でも振動は消えきらないと思います。

ラバーマウントの性能
ラバーマウント本来の機能である振動吸収という意味では、ダイナのフレームと2点ラバーマウントはかなり進化してると言えますね。FXRが50km/h以上でも振動を消せないのに対して、ダイナはほぼ消してますから。

まとめ

コンパクトなので取り回しもしやすいのが魅力です。

僕がツインカム88ダイナに乗っていた10年前、はじめてFXRに乗った衝撃はいまだに忘れられません。振動が収束するどころか、60km/hでもガシガシ伝わってくる…。無振動になるダイナが不満な僕には、「これが理想だ!」と確信しました。その後年式問わずさまざまなハーレーに乗ってみましたが(パンヘッド以前の古いハーレーは乗ったことがありませんが)、僕の中ではFXRがNO.1であり続けました。

そしてようやく自分が所有し、今では乗るたびに「最高すぎる」と感動しています。普通にドコドコ振動を楽しみながらも走れるし、ワインディングなどでコーナーを爽快に抜けることもできるし、本当に様々な楽しみ方が可能です。

鼓動好きなら、FXRは間違いなく楽しめるハーレー

ショベルやそれ以前のエンジンは、独特の味わいがあります。しかしエボリューションエンジンの安心さ、そのスオポーティさ…ワインディングなどで、ある程度攻めた走りも楽しめることを考えれば、FXRにアドバンテージがあると個人的には思います。

ハーレー独特の鼓動に加えて、一定の安心感とスポーツ性能を併せ持った1粒で3度美味しいのが、FXRです。もし、ちょっと刺激の強いハーレーを探しているなら、FXRも是非検討してみてください。

そもそもの絶対数が少ない。程度の良い車両は絶滅危惧

もともと不人気車なので(涙)、タマ数が少ないFXR。

FXRの残念な点は、在庫数が圧倒的に少ないことです。この記事を作成している2020年春では、中古車サイトでも在庫が10台程しかありません。そしてどれも状態良いとは言えなさそうなものばかり。根気よく出物を待つしかなさそうです。

たまに99年に登場したハーレーダビッドソン社初のCVOモデル、FXR 2、3あたりが販売されていることもあります。ハーレーは96年式以降エンジンの塗装技術が向上し質感が大きく向上しているので、クオリティ重視の方はこちらを狙ってもいいかもしれませんね。スタイルが少し特徴的なのと、メーターが米国マイル仕様のものがほとんどなので、そこはご注意ください。

エボリューションエンジンを選ぶ時の参考情報

ちなみにFXRに限らずエボリューションモデルは、以下の年式ごとに機械的な変更を受けています。是非参考にしてみてください。

1985年乾式クラッチから湿式クラッチを採用している。またエンジンはシリンダーヘッドからクランクケースまでを1本のスタッドボルトで貫通させ、剛性アップと、オイル漏れを防止している。
1990年ケイヒン製CVキャブレターを採用。初心者にも優しいキャブレターゆえにレスポンスは鈍めで採用当初はかなり叩かれた。しかし低速から高速域までの幅広いカバー領域と扱いやすさから見直されてきている。
1993年クランクケースの内圧を逃がす仕組みの、新しいブリージングシステムを取り入れる。
1992年式のみ新旧ブリージングシステムが併用されています(参考:1992年式エボのブリージングシステムについて)。
1995年現代のハーレーに採用されているフューエルインジェクションシステムが、一部モデルに導入された。
エボリューション・エンジンの機械的進化

Goo-BikeのFXR在庫ページ

いちいち検索するのが面倒な方のために、Gooバイクさんのリンクを貼っておきますね。
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